「銅管は長持ちする」と言われてきましたが、水質や施工条件次第では10年以下でピンホールが開き漏水するケースが起きています。給水・給湯・冷却水配管で銅管を採用している設備では、どのような条件で腐食が起きるのかを理解しておくことが、大きなトラブルを防ぐ第一歩です。
銅管腐食の主な種類と発生条件
銅管の腐食は「どこで・なぜ起きるか」によって形態が異なります。原因を混同すると対策がズレてしまうため、まず形態別に整理します。
| 腐食形態 | 発生箇所 | 主な原因 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 孔食(ピッティング) | 直管部全体 | 硬水中の炭酸カルシウム被膜不形成、Cl⁻、残留塩素過多 | 局所的に深く穴が開く。軟水地域で多発 |
| 浸食腐食(エロージョン腐食) | エルボ・T字・流速が上がる箇所 | 高流速+微細気泡による機械的・化学的摩耗 | 下流側に偏った減肉。給湯配管で多い |
| 応力腐食割れ | 加工部・溶接部・曲げ部 | 残留応力+アンモニア環境(冷却塔水等) | 割れが枝分かれする。急激な破断 |
| 電食(異種金属腐食) | 異種金属との接続部 | 銅と鉄・アルミなどの電位差 | 接続部近傍の鉄・アルミ側が優先腐食 |
| 微生物腐食(MIC) | 滞留部・デッドレグ | 硫酸塩還元菌などの代謝産物 | 内面黒色、局所的な深い孔食 |
孔食:軟水地域で起きやすいメカニズム
銅管は水中のカルシウム・マグネシウムイオン(硬度成分)が内面に薄い保護皮膜を形成することで自己防衛しています。硬水(硬度100mg/L以上)では比較的皮膜が形成されやすく腐食しにくいのですが、軟水(硬度50mg/L未満)や酸性傾向の水(pH6.5未満)では皮膜が十分に育たず、孔食が起きやすくなります。
残留塩素が高い(1.0mg/L超)場合も孔食を促進します。これは塩化物イオンが不動態皮膜を局所的に破壊するためで、給水施設の塩素管理値と現場配管の腐食トラブルが連動するケースがあります。
浸食腐食(エロージョン腐食):給湯管に多い形態
給湯配管で特に多いのが浸食腐食です。高温の湯(60℃以上)が高速(銅管の場合1.5m/s超が目安)で流れると、エルボや継手の曲がり部でキャビテーションや乱流が発生し、銅が機械的に削られます。
症状は「エルボの外側が馬蹄形に薄くなる」という特徴的なパターンで、内視鏡検査か管壁厚み測定で確認できます。pH7未満+高温+高流速の組み合わせが最も危険で、この条件が揃うと通常の数倍の速度で減肉が進みます。
施工ミスが腐食を引き起こすケース
フラックス残留
銅管のはんだ付け・ロウ付け時に使うフラックスが内面に残留すると、酸性物質として内面を腐食します。施工後の十分な水洗いと管内洗浄(フラッシング)が必須です。
異種金属の無防備な接続
銅管と鉄管・亜鉛メッキ鋼管を直接接続すると、電位差による電食が発生します。鉄側が優先して腐食し、短期間で穴が開くことがあります。絶縁継手(ダイエレクトリックユニオン)の使用が原則です。
デッドレグ(行き止まり管)
レイアウト変更で使わなくなった配管が残ったままになっていると、水が滞留して微生物が繁殖しやすくなります。使わない配管は撤去するか、定期フラッシングを行ってください。
銅管腐食の点検ポイント
- 水質データ(pH、硬度、残留塩素、塩化物イオン)を定期的に測定している
- 給湯配管の流速が1.5m/s以下に収まっている
- エルボ・T字付近を超音波厚み計で管厚測定している(年1回以上)
- 異種金属との接続部に絶縁継手を使っている
- 冷却塔水のアンモニア・微生物管理をしている
- 使われていないデッドレグ配管が残っていない
- ロウ付け後の内面フラッシングを施工基準に明記している
まとめ
- 銅管腐食は「孔食・浸食腐食・応力腐食割れ・電食・微生物腐食」の5形態に分類できる
- 軟水・低pH・高残留塩素の水質は孔食を促進する
- 給湯配管では1.5m/s超の流速がエルボ部の浸食腐食を引き起こす
- アンモニア環境下では加工部・溶接部への応力腐食割れに注意が必要
- 施工時のフラックス残留・異種金属直結・デッドレグ放置は腐食の起点になる
- 年1回の管厚測定と水質モニタリングが早期発見の鍵

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