りん青銅とは? ばね・摺動部品に選ばれる理由をやさしく解説
コネクタのばね接点・摺動ブッシュ・精密ばねに多く使われるりん青銅。「ばね性が高く耐摩耗性がある銅合金」として電子部品から機械部品まで幅広く使われています。この記事でりん青銅の成分・特性・グレード・用途をやさしく解説します。
りん青銅の成分と「りん」の役割
リン(P)を添加する理由: 錫青銅にP(リン)を0.03〜0.35%添加することで2つの効果が生まれます。①脱酸効果:溶解時の酸素を除去し、健全な鋳造組織を得ます。②強化効果:リンがCu基地を固溶強化し、ばね性と耐摩耗性を高めます。
りん青銅の主要グレード(JIS H 3130・H 3100)
| JIS記号 | Cu (%) | Sn (%) | P (%) | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| C5101 | 残部 | 3.5〜4.5 | 0.03〜0.35 | 低Sn・成形性重視 | 端子・コネクタ |
| C5191 | 残部 | 5.5〜7.0 | 0.03〜0.35 | 汎用・バランス型 | ばね・端子・スイッチ接点 |
| C5212 | 残部 | 7.0〜9.0 | 0.03〜0.35 | 高Sn・高強度 | 精密ばね・精密機器 |
| C5341 | 残部 | 5.5〜7.0 | 0.03〜0.35+Pb | 快削りん青銅 | 摺動部品・ブッシュ(切削品) |
機械的性質(C5191板材:H材=加工硬化材)
| 調質 | 引張強さ (N/mm²) | 耐力 (N/mm²) | 伸び (%) | 硬さ (HV) |
|---|---|---|---|---|
| O(焼なまし) | 330〜440 | ≧140 | ≧40 | 80〜120 |
| H(加工硬化) | 490〜600 | ≧390 | ≧10 | 145〜185 |
| EH(超加工硬化) | ≧640 | ≧550 | ≧2 | ≧190 |
りん青銅 vs 真鍮 vs ベリリウム銅 ばね性比較
摺動特性と軸受用途
りん青銅は硬さと耐摩耗性のバランスがよく、摺動部品(スライド・ブッシュ)にも使われます。ただし固体潤滑剤や油潤滑と組み合わせることが前提で、無潤滑での高速摺動には向きません。軸受用途にはC5341(快削りん青銅・Pb入り)が使われ、機械加工でブッシュ・メタルに成形されます。
| 項目 | りん青銅(C5191) | 真鍮(C3604) | アルミニウム青銅(CAC701) |
|---|---|---|---|
| 硬さ (HV) | H材: 145〜185 | 〜150 | 170〜200(鋳物) |
| ばね性 | 高い | 低い | 中程度 |
| 耐摩耗性 | 良好 | 中程度 | 非常に高い |
| 切削性 | 普通(C5341は良好) | 優秀(C3604) | 普通 |
JIS・海外規格対応表
| JIS | ASTM/UNS | EN | 特徴 |
|---|---|---|---|
| C5191 | C51900 | CuSn6 | りん青銅 汎用ばね板 |
| C5212 | C52100 | CuSn8 | 高強度りん青銅 |
用途別カード
電気コネクタ接点(C5191)
挿抜繰り返しに耐えるばね接点。高いばね性と導電性、耐摩耗性を同時に要求されます。
スイッチ・リレー接点(C5191)
繰り返し作動に耐える弾性接点。ばね疲労寿命が重要で、H〜EH調質が使われます。
摺動ブッシュ・メタル(C5341)
Pb入り快削りん青銅で機械加工したブッシュ。油潤滑で軸受として機能します。
精密ばね・ダイヤフラム(C5212)
高強度・高ばね性が必要なセンサーダイヤフラム・高精度ばね。C5212の高Snで対応。
まとめ:りん青銅で押さえておきたいこと
- りん青銅はCu-Sn-Pの合金で、ばね性・耐摩耗性・耐食性のバランスが優れた銅合金です。
- P(リン)は脱酸と固溶強化の2つの役割を果たし、ばね性を高める核心元素です。
- 代表グレードC5191はH〜EH調質で引張強さ490〜640 N/mm²以上となり、コネクタ・スイッチ接点に最適です。
- 摺動用途にはPb入り快削りん青銅(C5341)を使います。
りん青銅, C5191, リン青銅 用途, りん青銅 ばね, C5341, 銅合金 ばね, phosphor bronze, コネクタ 接点 材料

コメント