100円硬貨・500円硬貨・洋食器・医療器具に使われる白っぽい銅合金——それが白銅(はくどう)と洋白(ようはく)です。どちらもNi(ニッケル)を含む銅合金で、銀に似た白色と優れた耐食性・機械的性質が特徴です。
白銅と洋白の成分の違い
| 名称 | 英語名 | 主成分 | JIS代表 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 白銅 | Cupronickel | Cu-Ni(Ni 10〜30%) | C7060・C7150 | 白色・耐海水性が高い・硬貨・熱交換器 |
| 洋白 | Nickel Silver(ニッケルシルバー) | Cu-Ni-Zn(Ni 10〜18%+Zn) | C7521・C7541 | 光沢ある白色・食器・アクセサリー・楽器 |
洋白は「ニッケルシルバー」とも呼ばれますが、銀(Ag)を含みません。 Cu-Ni-Znの合金で、Niが白色化、ZnがCu-Niへの強度補助と色調調整の役割を果たします。英語でも”German Silver”と呼ばれ、銀のような外観から食器・楽器の部品に使われます。
白銅・洋白の代表グレードと化学成分
| JIS記号 | Cu (%) | Ni (%) | Zn (%) | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| C7060(白銅10%) | 残部 | 9〜11 | — | 熱交換器チューブ・硬貨 |
| C7150(白銅30%) | 残部 | 29〜33 | — | 高耐食・海水淡水化装置 |
| C7521(洋白) | 残部 | 16〜20 | 13〜17 | 食器・装飾品・バネ |
| C7541(洋白) | 残部 | 13〜17 | 23〜27 | アクセサリー・楽器部品 |
機械的性質比較
| 合金 | 引張強さ (N/mm²) | 耐力 (N/mm²) | 伸び (%) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 白銅 C7150-O | 380〜480 | ≧100 | ≧30 | 耐海水性最高クラス |
| 洋白 C7521-H | 490〜640 | ≧390 | ≧5 | 高強度・ばね性・外観良好 |
硬貨と白銅:日本の硬貨に使われる銅合金
| 硬貨 | 材質 | 組成(概略) |
|---|---|---|
| 500円硬貨 | バイカラー・クラッド | 外輪:白銅(Cu75-Ni25)/ 内側:黄銅(Cu70-Zn30) |
| 100円硬貨 | 白銅 | Cu75-Ni25(白銅25%) |
| 50円硬貨 | 白銅 | Cu75-Ni25 |
| 10円硬貨 | 青銅 | Cu95-Zn4-Sn1 |
| 5円硬貨 | 黄銅 | Cu60-Zn40 |
| 1円硬貨 | アルミニウム | 純Al 100% |
用途別カード
硬貨(白銅)
100円・50円硬貨の材料。耐摩耗性・耐食性・白色外観・適切な硬さが硬貨に最適です。
熱交換器チューブ(白銅)
C7060は海水・汽水での耐食性が高く、艦艇・発電所の海水熱交換器チューブに使われます。
洋食器・カトラリー(洋白)
銀めっきの下地材として、または無垢で使用。「EPNS」(Electro Plated Nickel Silver)が洋白めっき食器の表記です。
楽器・アクセサリー(洋白)
フルート・クラリネットのキー・アクセサリーの素材。外観と適度なばね性が楽器部品に向きます。
医療器具(洋白)
聴診器・外科器具。Niアレルギーへの配慮が必要な用途では被覆処理を追加します。
まとめ:白銅・洋白で押さえておきたいこと
- 白銅はCu-Ni合金で耐海水性が高く、熱交換器チューブ・硬貨(100円・50円)に使われます。
- 洋白はCu-Ni-Zn合金で銀に似た白色外観を持ち、食器・楽器・アクセサリーに使われます。
- 洋白は「ニッケルシルバー」とも呼ばれますが、銀(Ag)は含まれません。
- Ni含有のためNiアレルギーへの配慮が必要な用途では表面処理(Agめっき等)を施します。


コメント