チタンとステンレスの違いをやさしく解説:軽さ・耐食性・価格で比べる

材料比較・工法比較・選び方

チタンとステンレスの違いをやさしく解説:軽さ・耐食性・価格で比べる

「チタンはステンレスより強くて軽い」というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。密度・比強度・耐食性・価格・加工性を軸に、チタン(工業用純チタン・Ti-6Al-4V)とステンレス(SUS304・SUS316)を徹底比較します。

基本物性の比較

項目工業用純チタン(Grade 2)Ti-6Al-4V(Grade 5)SUS304SUS316
密度 (g/cm³)4.514.437.937.98
引張強さ (N/mm²)345〜480≧895≧520≧520
耐力 (N/mm²)≧275≧828≧205≧205
比強度(引張強さ÷密度)約85約202約66約65
弾性率 (GPa)105〜110110〜114193〜200193〜200
熱伝導率 (W/m·K)約17約7約16約15
比強度でチタンが圧倒: Ti-6Al-4Vの比強度(引張強さ÷密度)は約202と、SUS304(約66)の3倍以上です。「同じ強度を実現するためなら、チタンはステンレスの約1/3の重量で済む」という計算になります。航空・宇宙・スポーツ器具でチタンが選ばれる核心的な理由です。

耐食性の比較

腐食環境工業用純チタンTi-6Al-4VSUS304SUS316
大気・淡水◎ 最優秀○ 良好○ 良好
海水・塩化物◎ 最優秀△ 孔食リスク○ 良好
酸化性酸(硝酸等)
還元性酸(塩酸・硫酸)△ 注意(高濃度NG)
生体適合性(医療)◎ 最優秀

チタン vs ステンレス 性能比較

加工性と価格の比較

項目チタン(純チタン・Ti-6Al-4V)SUS304
切削加工難(低熱伝導・工具溶着・スプリングバック)やや難(加工硬化)
溶接難(完全な不活性ガスシールド必須)良好(TIG/MIG)
プレス・成形難(スプリングバック大・弾性率低)可能
材料コスト(概算)SUS304の 5〜15倍基準
磁性なし(非磁性)なし(オーステナイト系)

JIS・ASTM規格対応表

JISASTM別称特徴
JIS 1種(TP270)Grade 1純チタン最軟質・最高耐食性
JIS 2種(TP340)Grade 2純チタン最汎用グレード
JIS 60種(TAP6400)Grade 5(Ti-6Al-4V)6-4チタン最高比強度・航空宇宙用

用途別カード

航空・宇宙(Ti-6Al-4V)

エンジンファンブレード・機体構造材。SUS304の3倍の比強度が軽量化に直結します。

医療インプラント(純チタン)

人工関節・歯科インプラント。生体適合性が最高クラスで骨との結合性(オッセオインテグレーション)も優れます。

海洋・化学プラント(純チタン)

海水淡水化プラント・熱交換器。SUS316が孔食を起こす環境でも純チタンは安定します。

食品・製薬(SUS316L)

チタンより安価でCIP(定置洗浄)に対応。食品・製薬の配管・タンクはSUS316Lが主流です。

スポーツ・眼鏡フレーム(純チタン)

自転車フレーム・ゴルフシャフト・眼鏡フレーム。軽量・耐食・非アレルギー性が民生品にも広く使われます。

まとめ:チタンとステンレスで押さえておきたいこと

  • チタンはステンレスの約半分の密度(4.5 vs 7.9 g/cm³)で、比強度(Ti-6Al-4V)はSUS304の3倍以上です。
  • 耐食性はチタンが海水・塩化物環境でも最高クラスを維持し、SUS304より明らかに優れます。
  • 加工性と価格ではステンレスが有利。チタンはSUS304の5〜15倍のコストになります。
  • 「軽量化・高耐食・生体適合性」が必要な用途にチタン、「コスト重視・汎用」にはSUSが基本選択です。

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