チタンとアルミの違いをやさしく解説:比強度・耐食性・加工性で比べる
「軽い金属」として並び称されるチタンとアルミ。どちらも鉄の半分以下の密度ですが、強度・耐食性・コスト・加工性でまったく異なる特性を持ちます。この記事でチタンとアルミの違いをやさしく比較します。
基本物性比較
| 項目 | 純チタン(Grade 2) | Ti-6Al-4V(Grade 5) | A6061-T6 | A7075-T6 |
|---|---|---|---|---|
| 密度 (g/cm³) | 4.51 | 4.43 | 2.70 | 2.80 |
| 引張強さ (N/mm²) | 345〜480 | ≧895 | ≧260 | ≧525 |
| 比強度(引張強さ÷密度) | 約88 | 約202 | 約96 | 約188 |
| 耐力 (N/mm²) | ≧275 | ≧828 | ≧240 | ≧460 |
| 弾性率(ヤング率)(GPa) | 105〜110 | 110〜114 | 68〜70 | 70〜72 |
| 熱伝導率 (W/m·K) | 約17 | 約7 | 約167 | 約130 |
| 線膨張係数 (×10⁻⁶/K) | 8.6 | 8.6 | 23.6 | 23.4 |
比強度で見ると互角: A7075-T6の比強度は約188、Ti-6Al-4Vは約202とほぼ同等です。ただしチタンは「高温でも強度が維持される」点でアルミを大きく上回ります。アルミは150〜200°Cを超えると急激に強度が低下しますが、チタンは400〜500°Cまで高強度を維持できます。
耐食性・使用温度の比較
| 項目 | チタン(純チタン) | アルミ合金(A6061) |
|---|---|---|
| 耐食性(大気) | ◎ 最優秀 | ○ 良好(酸化皮膜) |
| 耐食性(海水・塩化物) | ◎ 最優秀 | △ 孔食リスクあり |
| 耐食性(酸) | ○〜◎(酸化性酸に優れる) | △ 注意(アルカリに弱い) |
| 使用温度上限(強度維持) | 〜約500°C | 〜約150〜200°C |
| 生体適合性 | ◎ 最優秀 | △(アルミイオン溶出の懸念) |
加工性・コストの比較
| 項目 | チタン | アルミ |
|---|---|---|
| 切削加工 | 難(低熱伝導・工具溶着) | 容易(高速切削向き) |
| 溶接 | 難(完全不活性ガスシールド) | 可能(TIG/MIG) |
| プレス・板金 | 難(スプリングバック大) | 良好 |
| 鋳造 | 困難(真空溶解必要) | 容易(ダイカスト等) |
| 材料価格(概算) | A6061の 10〜20倍 | 基準 |
比強度・弾性率・使用温度の比較
用途別カード
航空機構造材
高温にさらされるエンジン周辺→Ti-6Al-4V、常温の機体構造→A7075-T6(コスト優先)。目的で使い分けます。
スポーツ用品
自転車フレームはアルミ(廉価)とチタン(高品位)の両方が普及。チタンは衝撃吸収・乗り心地が優れます。
医療機器
体内埋植用にはチタン一択。生体適合性の違いが明確で、アルミは体内使用に向きません。
熱交換器・放熱部品
放熱性はアルミが圧倒(熱伝導率167 vs 7-17 W/m·K)。ヒートシンク・ラジエターはアルミが標準です。
民生品(眼鏡・時計)
眼鏡フレームはアルミとチタンが競合。チタンは非アレルギー・軽量・高耐食でハイエンド品に使われます。
まとめ:チタンとアルミで押さえておきたいこと
- アルミはチタンより約40%軽く(密度2.7 vs 4.5 g/cm³)、加工しやすく安価です。
- チタンは高温強度・耐食性・生体適合性でアルミを大きく上回ります。
- 比強度(強度÷密度)はA7075-T6とTi-6Al-4Vがほぼ拮抗しますが、チタンは高温でも強度が維持されます。
- 放熱・軽量化・加工コストを優先するならアルミ、耐食・高温・生体適合性を優先するならチタンです。
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