SNCM439とは? 大断面・高靱性が求められる場面で選ばれる合金鋼をやさしく解説
「SCM440でも大断面では焼入れが届かない」「靱性をもっと上げたい」——そんな要求に応えるのがSNCM439です。Ni・Cr・Moの3元素を添加したニッケルクロムモリブデン鋼で、合金鋼の中でも最高クラスの総合性能を持ちます。
SNCM439の規格記号はどう読む?
SNCM439はJIS G 4103「ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材」で規定されます。記号の意味は以下のとおりです。
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| S | Steel(鋼) |
| N | Nickel(ニッケル) |
| C | Chromium(クロム) |
| M | Molybdenum(モリブデン) |
| 439 | 炭素量×100 → 0.39%C(グレード識別番号) |
SNCM439の化学成分
| 元素 | C | Si | Mn | Ni | Cr | Mo |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 含有量 (%) | 0.36〜0.43 | 0.15〜0.35 | 0.60〜0.90 | 1.60〜2.00 | 0.60〜1.00 | 0.15〜0.30 |
機械的性質(焼入れ・焼戻し後の目安)
ポイント: SNCM439はNiの添加により靱性(衝撃に対する粘り強さ)がSCM440より高くなります。同じ硬さ・強度でも、衝撃荷重が加わる部品ではSNCM439が選ばれます。
| 材料 | 引張強さ (N/mm²) | 耐力 (N/mm²) | 伸び (%) | シャルピー衝撃値 (J/cm²) |
|---|---|---|---|---|
| SCM440(参考) | 900〜1100 | 750〜950 | 12〜18 | 60〜90 |
| SNCM439 | 950〜1150 | 800〜1000 | 12〜18 | 90〜130 |
SCM440 vs SNCM439 性能比較
他の合金鋼との使い分け
| 鋼材 | Ni添加 | 焼入れ性 | 靱性 | コスト | 適用場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| S45C | なし | 中 | 中 | 安 | 小〜中断面・汎用機械部品 |
| SCM440 | なし | 高 | 中〜高 | 中 | 大断面・高強度ボルト |
| SNCM439 | 1.6〜2.0% | 最高 | 高 | 高 | 最大断面・衝撃荷重部品 |
JIS・海外規格対応表
| JIS | ASTM/SAE | EN | 備考 |
|---|---|---|---|
| SNCM439 | 4340 | 36CrNiMo4 | AMS 6415 も近似 |
用途別カード
大型クランクシャフト
自動車・船舶エンジンのクランクシャフト。衝撃と繰り返し荷重に耐えるためNi添加合金鋼が必要です。
大型シャフト・伝動軸
圧延機・製紙機などの大型シャフト。直径200mm超でも均一焼入れが可能です。
航空・防衛部品
航空機の着陸装置・構造部品にはAMS 6415(SNCM439近似)が使用されます。
高強度ボルト(特殊用途)
衝撃環境下のフランジボルト・タービンボルトにも使用されます。
まとめ:SNCM439で押さえておきたいこと
- SNCM439はJIS G 4103のNi-Cr-Mo合金鋼で、Ni添加による高靱性が最大の特徴です。
- SCM440より衝撃に強く、最大断面部品でも焼入れ性に優れます。
- コストはSCM440より高いため、靱性・大断面が本当に必要な部品に絞って使います。
- 海外規格ではASTM 4340、EN 36CrNiMo4が対応します。
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