鉄と鋼の違いをやさしく解説:炭素量が変える性質のしくみ
「鉄と鋼は何が違うの?」は金属材料の入口でよく出てくる疑問です。答えはシンプルで、炭素量です。この記事では純鉄・鋼・鋳鉄を炭素量の軸で整理し、それぞれの性質と使い分けをやさしく解説します。
炭素量で分類する鉄系材料
核心: 工業的に使われる「鉄」のほとんどは鋼(Steel)か鋳鉄(Cast Iron)です。純鉄(C ≦ 0.02%)は柔らかすぎて実用に向きません。炭素量が増えると硬さ・強度は上がりますが、延性・靱性は低下します。
純鉄・鋼・鋳鉄の性質比較
| 区分 | 炭素量 (%) | 代表材料 | 強度 | 延性 | 鋳造性 | 焼入れ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 純鉄 | 〜0.02 | 電磁鋼板(一部) | 低 | 高 | 不向き | 不可 |
| 低炭素鋼 | 0.02〜0.25 | SS400・SPCC・S20C | 中低 | 高 | 可 | 困難 |
| 中炭素鋼 | 0.25〜0.60 | S45C・S55C | 中〜高 | 中 | 可 | 可能 |
| 高炭素鋼 | 0.60〜2.14 | SKD11・SUJ2・工具鋼 | 高 | 低 | 可 | 高い効果 |
| 鋳鉄 | 2.14〜6.67 | FC250・FCD450 | 中 | 非常に低 | 優秀 | 一般に不可 |
炭素量と硬さ・延性の関係
鋼の種類をさらに細かく分けると
| 分類 | 炭素量 | 合金元素 | 代表グレード |
|---|---|---|---|
| 炭素鋼(普通鋼) | 〜0.6% | C・Mn のみ | SS400, S45C, SPCC |
| 合金鋼 | 〜0.5% | Cr・Mo・Ni 等を追加 | SCM440, SNCM439, SUJ2 |
| 工具鋼 | 0.4〜1.5% | Cr・Mo・W・V 等 | SKD11, SKH51, SK3 |
| ステンレス鋼 | 〜0.15%(低C品) | Cr ≧ 10.5% | SUS304, SUS430 |
用途別カード
低炭素鋼(〜0.25%C)
SS400・SPCC。溶接・プレス加工しやすく、架台・板金・建築構造に最適。焼入れは難しい。
中炭素鋼(0.25〜0.6%C)
S45C。焼入れで高強度が得られ、機械部品・軸・歯車に使われる最汎用クラス。
高炭素鋼(0.6〜2.14%C)
工具鋼・軸受鋼。高硬度・高耐摩耗性が必要な工具・金型・軸受に使われる。
鋳鉄(2.14%C〜)
FC・FCD。鋳造性が高く複雑形状を作りやすい。工作機械ベッド・エンジンブロックに使われる。
まとめ:鉄と鋼の違いで押さえておきたいこと
- 「鉄」と「鋼」の違いは炭素量で、鋼は C 0.02〜2.14%、それ以上は鋳鉄です。
- 炭素量が増えると強度・硬さは上がり、延性・靱性・溶接性は低下します。
- 合金元素(Cr・Mo・Ni 等)の添加で焼入れ性・耐食性・耐熱性を改善したのが合金鋼・ステンレス鋼です。
- 材料選択は「炭素量と目的」で考えるのが出発点です。
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