鉄と鋼の違いをやさしく解説:炭素量が変える性質のしくみ

鉄と鋼の違いをやさしく解説:炭素量が変える性質のしくみ

「鉄と鋼は何が違うの?」は金属材料の入口でよく出てくる疑問です。答えはシンプルで、炭素量です。この記事では純鉄・鋼・鋳鉄を炭素量の軸で整理し、それぞれの性質と使い分けをやさしく解説します。

炭素量で分類する鉄系材料

0%C 0.02% 2.14% 6.67%C 純鉄 鋼(Steel) 鋳鉄(Cast Iron) 0.02% 2.14%
核心: 工業的に使われる「鉄」のほとんどは鋼(Steel)か鋳鉄(Cast Iron)です。純鉄(C ≦ 0.02%)は柔らかすぎて実用に向きません。炭素量が増えると硬さ・強度は上がりますが、延性・靱性は低下します。

純鉄・鋼・鋳鉄の性質比較

区分炭素量 (%)代表材料強度延性鋳造性焼入れ
純鉄〜0.02電磁鋼板(一部)不向き不可
低炭素鋼0.02〜0.25SS400・SPCC・S20C中低困難
中炭素鋼0.25〜0.60S45C・S55C中〜高可能
高炭素鋼0.60〜2.14SKD11・SUJ2・工具鋼高い効果
鋳鉄2.14〜6.67FC250・FCD450非常に低優秀一般に不可

炭素量と硬さ・延性の関係

鋼の種類をさらに細かく分けると

分類炭素量合金元素代表グレード
炭素鋼(普通鋼)〜0.6%C・Mn のみSS400, S45C, SPCC
合金鋼〜0.5%Cr・Mo・Ni 等を追加SCM440, SNCM439, SUJ2
工具鋼0.4〜1.5%Cr・Mo・W・V 等SKD11, SKH51, SK3
ステンレス鋼〜0.15%(低C品)Cr ≧ 10.5%SUS304, SUS430

用途別カード

低炭素鋼(〜0.25%C)

SS400・SPCC。溶接・プレス加工しやすく、架台・板金・建築構造に最適。焼入れは難しい。

中炭素鋼(0.25〜0.6%C)

S45C。焼入れで高強度が得られ、機械部品・軸・歯車に使われる最汎用クラス。

高炭素鋼(0.6〜2.14%C)

工具鋼・軸受鋼。高硬度・高耐摩耗性が必要な工具・金型・軸受に使われる。

鋳鉄(2.14%C〜)

FC・FCD。鋳造性が高く複雑形状を作りやすい。工作機械ベッド・エンジンブロックに使われる。

まとめ:鉄と鋼の違いで押さえておきたいこと

  • 「鉄」と「鋼」の違いは炭素量で、鋼は C 0.02〜2.14%、それ以上は鋳鉄です。
  • 炭素量が増えると強度・硬さは上がり、延性・靱性・溶接性は低下します。
  • 合金元素(Cr・Mo・Ni 等)の添加で焼入れ性・耐食性・耐熱性を改善したのが合金鋼・ステンレス鋼です。
  • 材料選択は「炭素量と目的」で考えるのが出発点です。

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