Ti-6Al-4Vとは? 最もよく使われるチタン合金をやさしく解説

Ti-6Al-4Vとは? 最もよく使われるチタン合金をやさしく解説

チタン合金の約50%以上の生産量を占めるTi-6Al-4V。「6-4チタン」とも呼ばれるこの合金は、航空機部品から医療インプラント、金属3Dプリンタ用粉末まで幅広く使われます。なぜこれほど広く採用されるのか、成分・組織・熱処理・用途をやさしく解説します。

Ti-6Al-4Vの名前の読み方

Ti – 6Al – 4V Titanium Al 6% / Aluminum添加 V 4% / Vanadium添加

Al(アルミニウム)がα安定化元素として高温強度を、V(バナジウム)がβ安定化元素として強度と延性を高めます。このα+β二相組織が「強度と延性の両立」というTi-6Al-4Vの最大の特徴を生み出します。

化学成分(ASTM Grade 5 / JIS 60種)

元素TiAlVFeOその他
含有量 (%)残部5.5〜6.753.5〜4.5≦0.40≦0.20各≦0.10

調質別機械的性質

ELIグレードについて: Ti-6Al-4V ELI(Extra Low Interstitial)はO・Fe・N・Cなどの不純物を通常品より低く抑えたグレードです。延性・靱性・生体適合性が向上し、医療インプラントの標準材料として使われます(ASTM Grade 23)。
グレード・状態引張強さ (N/mm²)耐力 (N/mm²)伸び (%)主な用途
Grade 5 焼なまし≧895≧828≧10航空機・産業部品
Grade 5 STA(時効)≧1100≧1000≧8高強度航空部品
Grade 23(ELI)≧860≧795≧10医療インプラント
純チタン Grade 2(参考)345〜480≧275≧20化学プラント・医療

Ti-6Al-4V vs 純チタン vs 鋼の比強度比較

金属3Dプリンタ(AM)でのTi-6Al-4V

Ti-6Al-4VはPBF(粉末床溶融結合)方式・DED(指向性エネルギー堆積)方式の両方で使われる代表的なAM用チタン合金です。積層造形後はas-built状態でも高い強度が得られますが、残留応力除去と組織改善のために焼鈍処理(700〜800°C)またはHIP(熱間静水圧プレス)が推奨されます。

AM後の状態引張強さ目安特徴
as-built(PBF)1000〜1100 N/mm²高強度だが残留応力あり・異方性あり
焼鈍後900〜1000 N/mm²残留応力除去・延性向上
HIP後900〜950 N/mm²内部欠陥除去・疲労強度向上

JIS・ASTM・EN規格対応表

JISASTMENAMS
TP60(60種)Grade 5Ti-6Al-4V / 3.7165AMS 4928
Grade 23(ELI)Ti-6Al-4V ELI / 3.7165AMS 4930

用途別カード

航空機エンジン部品

ファンブレード・ディスク・ケース。高比強度+高温強度の両立がジェットエンジンに不可欠です。

航空機機体構造

スパー・リブ・着陸装置。A7075とTi-6Al-4Vが競合する部位で、高温・高強度要求箇所にチタンが選ばれます。

医療インプラント(ELI)

人工股関節・脊椎インプラント。ELIグレードが延性・生体適合性をさらに高め、手術器具・インプラントの標準材料です。

金属3Dプリンタ粉末

PBF・DED用の代表的チタン合金粉末。複雑形状の航空・医療部品のAM製造に広く使われます。

スポーツ・アウトドア

自転車・登山器具・ゴルフシャフト。軽量高強度が必要なハイエンドスポーツ用品に採用されます。

まとめ:Ti-6Al-4Vで押さえておきたいこと

  • Ti-6Al-4VはAl 6%・V 4%を添加したα+β型チタン合金で、チタン生産量の過半数を占める最汎用グレードです。
  • 引張強さ≧895 N/mm²・密度4.43 g/cm³の比強度はAl合金・鋼材を大きく上回ります
  • 医療用にはO・Fe含有量を下げたGrade 23(ELI)が使われ、生体適合性と延性が向上します。
  • 金属3Dプリンタ(PBF・DED)でも代表的な材料で、積層造形後は焼鈍またはHIP処理が推奨されます。

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