たすいちな人 たすいちな人

TASUICHI-BITO Vol.1 (前編) 鎌倉の谷戸の自然に寄り添った、ふたりの毎日。 TASUICHI-BITO Vol.1 (前編) 鎌倉の谷戸の自然に寄り添った、ふたりの毎日。

長い歴史を刻む禅刹が立ち並び、深い緑をたたえる北鎌倉。その静かな谷戸に、建築家のアトリエ兼ライフスタイルショップがあります。オーナーは村田一博さんと佳奈さんご夫妻。日々の衣・食・住を大切にする「たすいち人」なおふたりに、お仕事のこと、暮らしのことを伺いました。

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佳奈さんがセレクトしたナチュラルテイストのウェアやバッグ、暮らしの道具がセンスよく並ぶショップスペース。

季節の移り変わりを肌で感じる心地よさ。 季節の移り変わりを肌で感じる心地よさ。

一博さんの祖父母が書庫として使っていた蔵をリノベーションした建物は、独立後初の作品にしてショールームのような存在。1階を佳奈さんセレクトのショップ&カフェとして、2階を一博さんのアトリエとして使っています。「独立して3年め。鎌倉での暮らしは本当の意味で贅沢だなと実感しています。都内に勤めている時は、毎日終電まで仕事をして日曜は休むだけでしたが、今はアトリエで仕事をしながらでも外に目をやれば季節の変化を感じられます。ほんの少し足を延ばせば海も山もすぐ。それでいて都心へ行くのも苦ではない。この距離感がいいですね」同じ空間でそれぞれの仕事をすることで、佳奈さんとの会話も増えたと言います。しかも一昨年にはお嬢さんも誕生。その成長をそばで見られることが何よりの幸せだと一博さん。刺激の多い都心とのほどよい距離感、静かな鎌倉での暮らしと家族との時間が、一博さんにとって一番の”たすいち”なのかもしれません。

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カウンターで常連さんとの話に花が咲く。この日はご近所で焼き菓子を作る「TOROkko」の原田さんと。

誰もに広く開かれた空間から何かが生まれる。 誰もに広く開かれた空間から何かが生まれる。

佳奈さんのいる1階は、いつも楽しい気配に満ちています。ふだん暮らしを素敵なものにしてくれるアイテムを眺めるうちおしゃべりが始まり、コーヒーを飲みながら長居してしまう人も。「衣食住は欠かせません。ならば、それを楽しめるお店をやりたいね、というのが私たちのスタンス。カフェはその中心にある存在です。お客様と私たち、お客様同士をつなぐ大切な場」と佳奈さん。カフェカウンターやスツールはもちろん一博さんのデザイン。佳奈さん懇意の自家焙煎コーヒー店が夫妻のために作ったオリジナルブレンドが訪れる人をもてなします。「何気ないおしゃべりがリノベーションの仕事につながったり、オーダーの家具の話になったり。誰もが気軽に入れる開かれた場だから、いろんな出会いがあって新しいものが生まれるんでしょうね」ここでは、1+1が2よりもっと大きなものになるようです。

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リノベーションする前の蔵にあった『暮しの手帖』のバックナンバー。創刊当初のものもよい状態で残されていた。

温故知新。古いもの+新しいもののおもしろさ。 温故知新。古いもの+新しいもののおもしろさ。

佳奈さんがショップで扱うアイテムの中には、アンティークのウエアや道具もあり、新しいものと心地よい調和を保っています。また店内の一角にはふたりを見守るように穏やかな表情の仏頭が佇んでいます。「私の父方の実家である身延山の仏具店にあったもの。屋号のスミヨシヤも、その店からもらいました。”住み良し”とかけてもいますが、代々受け継がれたものを大切にしたくて」と佳奈さん。その思いは一博さんも同じ。佳奈さんの仏頭のように、一博さんの祖父母の古書もカフェ後ろの書棚に並んでいます。古いものの価値を見出し、それを新しい価値観でブラッシュアップして提示する。建物のリノベーションも、その道の上にあるのでしょう。温故知新。そこから生まれるSUMIYOSHIYAの魅力です。

  • 村田 一博さん
  • 村田 佳奈さん
村田一博さん・佳奈さん

むらたかずひろ/神奈川県鎌倉市生まれ。大学で建築を学び、恩師の主宰する岩崎建築研究室に勤務。
大小様々なプロジェクトを手がける。2015年に独立し「ATELIER SUMIYOSHI」を設立。一級建築士。
むらたかな/静岡県静岡市清水区生まれ。夫の独立とともに鎌倉に移り住み、アパレルとカフェでの経験を生かしてショップ&カフェ「SUMIYOSHIYA KITAKAMAKURA」をオープン。

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